3ソウルの盛衰 ソウル市内の都市開発と住居
ソウル市の人口は都市化により、1960年代には住宅問題が深刻さを増した。ソウル市は1966年に「大ソウル都市基本計画」を策定、ソウル特別市南東部にある江南区(カンナムく)は、1963年にソウル市に編入後、郊外の農村だったこの地に区画整理がなされた結果、1970年代以降多くの高層アパートが林立して、ソウルで4番目に人口の多い地区となった。
●住宅と学校建設のラッシュ
1971年に今の江南区論峴洞(ノニヨンドン)に公務員住宅が建てられたのを皮切りに、1973年には現在の瑞草区盤浦洞(バンポドン)に大韓住宅公社が3700戸余りの大規模団地を造った。住宅建設の進行とともに、1976年には名門の京畿高が現在の江南区に移り、その後多くの高校が、相次いで江南に移転した。
1984年に地下鉄二号線、1985年に三号線が開通すると、旧市内との交通アクセスが向上し、江南がオフィスやショッピングの街となった。1986年のアジア競技大会と88年のソウル五輪は江南区に隣接した松坡区(ソンパく)の総合運動場で行われた。(出典「韓国民族文化大百科事典」)
ソウル市の人口は1992年に1097万人とピークに達した後は徐々に減少し、2020年に991万1088人となった。最近では不動産が高騰し、100平米程度の中型マンションが10億ウォン(約一億円)以上で取引される。
●韓国の住宅分類
ソウルには、(1)共同住宅で『アパート』と呼ぶ5階以上のマンション。賃貸と分譲があり、「賃貸アパート」は日本と家賃の支払い方法が異なる。「分譲アパート」は大規模開発のアパートで、治安上人気があり需要も多い。
(2)4階以下で延べ面積が660㎡以上の連続住宅『ビラ』。
(3)4階以下で延べ面積が660㎡以下の共同住宅『多世帯住宅』。
(4)『一戸建』。韓国では高層アパートを中心とした都市計画のため、都市での一戸建ては少ない。
●最低住居基準
ソウル市を対象に、2011年に改正された「新最低住居基準」を適用して、1995年以降を分析した結果、2010年ソウル市の未達世帯は50.1万世帯(136.8万人、14.4%)で、2005年の50.9万世帯に比べてほとんど減少していないことが分かった。またソウル市のその他の居所(1.3%)と地下・屋上居住割合(9.6%)が全国で最も高く、ソウル市の住宅環境が質的な面で最も劣悪な地域に変わったことを知ることができる。(出典 ギムヨンチャン;チェウンギョン著「ソウル首都圏の新最低住宅基準を満たしていない世帯の時空間変化と特徴1995〜2010」2013より)