23 香港の盛衰 香港の住宅危機
香港は世界で最も裕福な人々の都市である一方、住民の不平等は45年で最高レベルに達している。シティバンクのレポートによると、2020年5月の時点で、香港には総資産が129万米ドル以上の人が約50万4,000人いた。一方香港の5人に1人は、香港の貧困ラインにあるという。
香港の住宅危機は、香港が直面している最も差し迫った問題の1つ。平均住宅価格は約128万米ドル(約1億3700万円)。小さな「アパート」は、香港の居住者にとって最大50万ドル(5300万円)の費用がかかる可能性がある。市内のアパートのほぼ半分の家賃は月額2,550ドル(27万3000円)、これは平均的な個人の月給の122%に相当する。
●劣悪な住宅条件
法外な家賃を払う余裕がない人は、高速道路の下のフード食堂、歩道橋と違法な小屋に頼る。少なくとも20万人の他の香港居住者は、小さな細分化されたアパートに住み、1家族のために設計されたアパートに、多くの異なる世帯と施設を共有している。
これらの細分化されたアパートは非常に小さく、品質が悪い。この低品質のユニットは、木の板の代わりに金網で構成されている場合があり、檻(ケージ)のように見える。この窓のないケージの初期家賃でさえ、月180ドル(約19万円)かかる可能性がある。
これらの小さな居住空間は、多くの場合20平方フィート以下で、この生活状況は、入居者、特に高齢者の健康に悪影響を与えている。
こうした住処の代替案に、公営住宅を申請する方法がある。しかし希望はなかなかかなわない。多くの人は、香港の住宅危機は、1997年の金融危機で公営住宅建設計画を中止した政府の決定に起因すると考えている。政府の住宅公社へのアパートの申請は、約10万5,000件。これは供給の50倍。非営利住宅協同組合への公営住宅の申請は約8万8,000件で141倍。数十万人の応募者の待機期間は平均5.5年。政府は埋め立てなどで住宅地の確保に努力しているが、時期はまだ先になるという。(資料 scmp.com2020. 9.23, borgenproject.org 2020.02.11)