シュールの本棚

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34 大富豪の世界 雑誌王フォーブス

フォーブスが買ったシャトー・ド・バレロ

 マルコム・フォーブス(1919-1990)は、アメリカの実業家で、父のB・C・フォーブスが創刊した経済誌『フォーブス』の発行人。彼の金の使い方は、人に話題を提供し愉快にするものが多い。

●建物の趣味  

 『フォーブス』の長者番付のなかで、最も精力的に金を費やしているのは、マルコム・フォーブス自身である。行動派の彼は、週末の休みにニュー・ジャージーのファーヒルズの邸にいないときには、ノルマンディのシャトー・ド・バレロイか、モロッコのメンドゥブ宮殿、ロンドンの住まい、南海のフィジーの別荘、あるいはアメリカの牧場のどこかにいる。
 シャトー・ド・バレロイは、1970年から1971年にマルコム・フォーブスに買収されるまで、バレロイの子孫の所有物だった。現在の所有者は、ロサンゼルスの慈善家ロイ・エドルマン(1940–2022.6.11)が購入した。
 フォーブスの自慢はオークションでロシア皇帝の一族のためにつくられたファベルジェの卵を手に入れたことである。この宝物は、彼の死後、ロシアの石油王ヴィクトール・ヴェクセルバーグが1億ドルで購入した。  
●乗り物の趣味
 彼はバイク好きで、ニュージャージー州にあるフォーブスの邸宅には、ハーレーダビッドソンのバイクなど、70台ほどのぜいたくなバイクがあり、オートバイ仲間が集まる定例会場となっていた。西欧人として初めてバイクでソ連と中国を横断したのも彼である。どちらのときも、彼は集めたバイク乗りたちを引き連れ、背中に「資本主義の手先」と書いた赤いベストをつけて走った。  気球飛行も彼の大きな楽しみの一つ。気球を飛ばすには何百ドル分かのヘリウムを吹き込まなければならない。彼はいろいろな形をしたたくさんの大型気球をもち、最初にヘリウム気球でアメリカ大陸横断を果たした。
 彼のぜいたくは、推定250万ドルを投じボーイング727をチャーターして世界の富豪たち800人を招待した楽しんだ。
 フォーブスの死後、雑誌事業は息子のスティーブ・フォーブスと孫娘のモイラ・フォーブスによって運営されている。(資料 V・パッカード『ウルトラリッチ』ダイヤモンド社 1990)