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15 ローマの盛衰 イタリアに住む外国人の貧困

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ローマにあるイタリア国立統計研究所(1926開設)

 イタリアの社会政策に関するシンクタンク「welforum」(2020.11.2)に、イタリアに住む外国人の生活水準の状況が紹介されていた。以下、その趣旨である。
●イタリア全体での貧困層
 イタリアの貧困に関する最新の国立統計研究所(ISTAT)のデータでは、2019年、イタリア国内には約170万世帯の絶対的貧困世帯があり、その発生率は6.4%で、合計460万人が含まれていた。この傾向は何年にもわたって繰り返されてきた。
 最も影響を受けるのは未成年者、南部に住む家族、そして賃貸住宅に住む人々。また外国人は経済だけでなく、教育、関係、健康など、最も貧困の影響にさらされている。
●コロナ以前の外国人データ
 2019年、ISTATの推定では、イタリア国内に絶対的貧困状態にある外国人は約140万人で、その人口割合はイタリア国民の5.9%に達している。一方その貧困率では26.9%を記録している。外国人の世帯別貧困発生の内訳は、外国人だけで構成されている家族(31.2%)で高く、次に1人の外国人がいる家族(27%)と混合世帯(20%)が続く。
 絶対的貧困の平均以上のレベルは、未成年の子供を持つ外国人だけで構成された家族でも記録されており、発生率は31.2%、つまりイタリア人の未成年家族の5倍である。南部では、この数字は36.8%に上昇している。
 南イタリアや人口5万人未満の小さな自治体に住む外国人家族の状況は特に深刻で、絶対的貧困は約25%と4分の1の割合。一方、中部地方に居住する外国人のみの家族については、2018年と比較して改善の兆しが見られる(23%から15.7%)。
 家族の職業状態では、仕事を探している絶対的貧困家庭は、イタリア人のみの家族の16.3%に対して、外国人のみで構成された世帯では33.3%に達している。