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20「仏教の秘密」念仏の起源

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阿弥陀如来 来迎図(合成)

秘密20 念仏は釈迦の時代からあった。

念仏(念仏生因)とは、仏及びその姿並びに名号等を思い憶念することによって浄土に往生できると説くことをいう。この説は「般舟三昧経」を始め、「大阿弥陀経」、「無量寿経」及び「阿弥陀経」などの経典に記述され、浄土往生の手段として紹介され、また広く実践された方法だった。この「念仏」の方法は、もともと仏を念じる、つまり仏を眼前にイメージ化する「観想念仏」を意味していた。しかし仏の姿といっても、その衣装、手の形、光背などの姿を具体的にはっきりイメージ化することは、そんなにたやすい事ではない。そこから日本では、日本に仏教が入った当初から「観想念仏」はあったが、一般民衆のために仏の名前を称える称名念仏でも往生が出来るという風に変化してきた。この念仏が一般庶民に広まったのは、中国浄土宗の善導(613-681) の影響を受けた法然上人 (1133-1212) の時代に入ってからである。

しかし念仏の効能は初期仏教の経典の「阿含(あごん)経」に、すでに説かれているので、その由来は古いものである。

 かって仏教の教団が仏陀を中心として組織されていた。そしてその仏陀に帰依した信者が、常に仏陀を信じ、あるいは仏陀の十の長所(十号具足=如来、仏世尊、正遍知など)をもつ世尊であると念じたり、さらに仏陀は三十二相(釈迦の姿の32の特徴)を具えていると念じたりして感謝の念を起こす。時には感謝の念ばかりでなく、恐怖もしくは危機等の場合には、仏陀に心の中で救いを求めた。「阿含経」には仏陀又は仏法僧の三尊を念ずることがしきりに説かれている。

「恐怖にあったときに我が姿を念じれば恐怖が消える」(増一阿含14)また三念(念仏・念法・念僧)は死後地獄に堕ちることを防ぎ、六念(三念・念戒・念施・念天)は、天上に生まれることを可能にすると説いている。(増一阿含49)出典 望月信亨『浄土教の起源及び発達』(1930)