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5「仏教の秘密」自殺

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崖から身を投げる姉妹(中国の挿絵よりコラージュ)

秘密5 仏教者の自殺 

 多くの宗教は自殺を禁じているが、それは仏教でも同じである。しかし個人の意思を重んじる時代になってからは、宗教の拘束力は低下している。以下は、仏教辞典の「自殺」の項目にあった記事の一部である。

仏陀のいた時代

不殺生(ふせっしょう)戒を掲げる仏教では、自殺は禁止すべき行為と考えられていた。しかし、仏陀の弟子の中に自殺を計ったり、自殺者がなかったわけではない。

シーハーという尼僧は、7 年間修行してもなお欲望を制御できない自分の愚かさを憤り、森の木に縄をかけて首を吊る瞬間に悟ったという。

バッカリ比丘は崖から身を投げ、片足が宙に浮いた途端に悟ったという。彼は後にひん死の重病になり、仏陀に「病んで師に会えぬのが辛い」と訴えた。その後イシギリ山に病人を運ばせ自殺した。

ゴーディカ比丘は6 度悟って6 度退転し、7 度目に悟った直後に、退転せぬよう自殺した。それを事前に察知した仏陀はそれをとどめようと考えたが、またその考えを捨てられている。

大乗仏教の自殺観

大乗仏教に入ってからは、命の重んずべきことは、いよいよ深く説かれている。『大智度論』には、「いかなる福徳を修めようとも、不殺生戒が守られていなければなんの益もない」と説いた。

また浄土に往生したいと願って自殺した者は、中国にも日本にも相当いた。出典 中村元監修『新・仏教辞典』(昭和37年)