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19「仏教の秘密」遺体瞑想

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●遺体の観察 右図(5〜6)と左図(9−10)

秘密19 執着を捨てる行

墓所に捨てられた死体が朽ちていく経過を、9段階にわけて描いた九相図(くそうず)が、日本には残されている。こうした「九相図」が、タイの伝統的な仏教写本にも描かれている。以下は『絵による仏法の教え』にある10の過程から4つの場面を選択した。

タイで初期の形である上座部仏教が勢力を持つようになったのは、ラームカムヘーン王(1279? - 1300?)の時代である。タイでは現在でも出家が望ましいとされている。上座部仏教は、釈迦の教えを保存してきたとされ、古来からの教えと実践を現在に伝える宗派として評価されている。教義では、「輪廻」をくり返す苦しみの原因は、心の執着であるから、この執着を断つため、戒律を守り瞑想修行に励むことが勧められる。

●遺体の熟考

人は死者の肉体を熟考することで、肉体がはかないものと知り、その執着から解放される。

遺体を観察する時、「死体は、自分の死体であると感じなければならない」という。そうすることで、自分の肉の執着から解放されるのである。

●遺体の熟考(5〜6)右図

この絵の上部の遺体は「犬に食いちぎられた人」と呼ばれ、下は「散らばった死体」と呼ばれている。欲望を実現させるための手足が、バラバラの手足になっていくのだ。

●遺体の熟考(9-10)左図

この絵は、虫に荒らされる遺体と、残された骨を示している。遺体の感覚を感じるために、遺体がウジ虫に占有されるのを見て、絶望を感じなければならないという。

●出典 ブッダダーサ・アーチャン師『絵による仏法の教え(TEACHING DHAMMA BY PICTURES)』タイ文部省(2006年)