4「仏教の秘密」来世占い
秘密4 仏陀は人の前世をも見通していた。
仏典には、ドクロを見ただけで、その人物の死因から輪廻している先までを言い当てる行者が登場している。以下はその要旨である。
●死因占い
コーサラ国に鹿頭(ろくず)というバラモンの行者がいた。占星術と医術を体得し、ドクロを観察して、この者は死後どこに生れ変わったかを言い当てることが出来た。世尊が王舎城を下り、鹿頭をつれて大きな塚のある所に行き、そこにある一つのドクロを取り上げて尋ねた。
「お前はドクロ占いを心得ているというが、このドクロの主は男か、女か」。
鹿頭はドクロを手にとって観察し、こつこつ指で叩いて「世尊、これは男です」
「その通りだ。何の病気で死んだのかな」。
「いろいろの病いが重って死んだのでしょう。カリロク果(インド産の生薬)に蜜を混ぜて飲めば助ったでしょう」「その通りだ。では今、この男はどこに生れているのか」。「彼は三悪趣(地獄・餓鬼・畜生)に落ちています」。
鹿頭は更にいくつかのドクロを与えられたが、みなその性別と死因と転生先をあてた。世尊は更に別のドクロを取って示した。それは涅槃に入った比丘のドクロであった。
鹿頭は一処懸命にドクロを叩いても、その主をあてることができなかった。
世尊は、「これは涅槃に入つた阿羅漢のドクロである」と答えた。
鹿頭はそれこそが世尊のレベルの高さであると感じ、その術を学ぶことを願った。世尊は比丘になれば教えると告げると、鹿頭は世尊に帰依した。出典「国訳一切経、阿含部8 増一阿含経 声聞品28」より