8マネー戦争 ナチス偽造紙幣
第二次世界大戦中、ほぼ本物のスターリング紙幣の偽札がロンドンに出現した。リスボン、チューリッヒ、ストックホルムなどの中立都市から10万ポンド分が発見され、犯罪者を非難した。エジンバラでは、ドイツ政府が関わった証拠を示す巧妙な偽造メモを持ったスパイが拘束された。
停戦後、オーストリアのエンス川に紙幣が浮かんでいるのが発見され、米国の防諜部隊が2100万ポンドの偽造紙幣を積んだ車両を押収した。ドイツの司令官は、シークレットサービスが彼に保管したと説明した。その後、捜査官はトンネルに隠された機器を発見したが、文書、紙、印刷版は発見できなかった。
イングランド銀行のエージェントによるその後の調査により、英国の経済を台無しにする計画が確認された。
ナチスの陰謀である「ベルンハルト作戦」は、1億4000万ポンド相当の900万枚の紙幣を印刷した。
ゲシュタポの責任者であるハインリヒ・ヒムラーがこの計画を作成した。彼はベルンハルト・クルーガー少佐(1904‐1989)にキャンペーンの遂行を許可したが、ドイツ帝国銀行は参加を拒否した。そこで捕獲されたユダヤ人の彫刻家と印刷業者は、より良い条件を約束され、ベルリンのザクセンハウゼン強制収容所で密かに偽造を行った。
最初の紙幣はナチスのエージェントによって配布され、大成功を収めた。戦争が連合国に有利になったため、クルーガーはヒムラーに生産をアルプスに移すよう説得した。そこでならナチスの逃走用に偽の紙幣や書類が印刷できた。
しかし遅すぎた。連合軍の前進により継続が不可能となり、印刷版は破壊された。紙幣は一時的に隠すために運ばれた。クルーガー少佐は姿を消し、時折、悪意のある場所で紙幣が使用された。
この事件は映画『ヒトラーの贋札』(2007年)でお馴染みとなった、(出典 雑誌「financial history」 2001年春号より)