9 マネー戦争 シャドーバンキング
中国政府は中未登録の金融機関「シャドーバンキング」を市場から追い出そうとしている。
かって、中国の民間セクターの先駆けとなる温州を巻き込んだ信用危機に多くの人が押し寄せ、地下銀行が大きな注目を集めた。預金を促すため、地下銀行は20から30%もの高い金利を提供。その後、さらに高いレートで資金を貸し出す。地下銀行は、ローンのマーケティングに非常に積極的で、そのリスクは従来の銀行よりもはるかに洗練されていないと考えられている。(Peterson Institute 2011.11)
政策の観点から、こうした私有貸付を取り締まることは理にかなっている。政府の規制は、設定できる金利を大幅に引き下げたため、シャドウバンクは金融サービスをまったく提供できなくなった。表面上こうした規制政策は、より安定した経済システムを構築するための取り組みといえる。ただし、中小企業(SME)は、中国のシャドーバンキング規制の影響を不均衡に受けている。
●シャドウバンキング資産の縮小
シャドウバンキングは、2009年に市場全体の約8%を占め、2016年に中国の総融資額の32%を占めた。これまでシャドーバンキングへの依存度が大幅に上昇したのは、中国の銀行システムの不公平なローン取得プロセスがある。中小企業が従来の銀行から融資を受ける場合、大規模な国有企業が信用支援を受けるのに比べ、体系的な不利益に直面する。さらに、シャドーバンキングの継続的な規制により、業界の資産は2017年から2020年にかけて11.5兆人民元縮小し、苦戦している企業への資金援助へのアクセスが制限されている。中国がコロナ規制を緩和する可能性が低いため、社会経済的影響は必至である。(出典 The Diplomat 2022年5月5日)