10マネー戦争 中国の金塊
●中国は米国よりも多くの金を所有?
世界の金の保有量(2022年3月末時点・単位トン)は以下の順位である。
1アメリカ(8,133.5)、2ドイツ(3,359.1)、3イタリア(2,451.8)、4フランス(2,436.4)、5 ロシア(2,298.5)、6 中国(1,948.3)、7 スイス(1,040.0)、8 日本(845.9)、9 インド(743.8)、10 オランダ(612.4)
中国は6番目。ドミニク・フリスビーは「マネーウィーク」で、中国の金準備が公式データよりもはるかに大きいという。以下はその理由。
中国の金保有量は2022年3月末時点での1,948.3トン。外貨準備に占める金の割合は3.6%と報告されている。
本当にそうか?まず、中国の金の生産は、2007年に世界最大の金生産国南アフリカを追い抜いた。それ以来ずっと続いている。この過去10年間で、世界で採掘されたすべての金の約15%を生産している。
2000年以来、中国は約6,830トンを採掘してきた。中国の金生産の半分以上は国営であり、中国国立金グループ公社だけで20%を占めている。そして中国は採掘した金を保持している。(国内の鉱山生産の輸出は許可されていない)。
その数は6,830トン。すでにその公式の1,948トンの数字は非常に疑わしい。
中国の鉱業会社は、国内の埋蔵量が減少しているため、アフリカ、南米、アジアの海外でも資産を購入している。国際生産は国内生産を上回り、2020年には約15トン増加している。
第2に、中国は最大の生産国だけでなく、世界最大の輸入国である。スイスとドバイを経由した金の輸入は、香港だけで2000年以降6,700トン以上が入国している。これを2000年以降の累積金生産量に加えると、13,500トンを超える数値が得られる。
●なぜ中国は金準備を静かに保つか?
中国に入るすべての金が上海黄金交易所(SGE)の取引きによって占められているわけではない。中央銀行である中国人民銀行(PBOC)は、金交易所で取引されていない12.5kgのバーを購入する。人民銀行はロンドン、ドバイ、スイスの取引所でドルを使用することが多く、金交易所は金を人民元で販売している。中国軍も金を所有しており、購入を報告する必要はない。また、国家外貨管理局や中国投資公社がある。
中国の中央銀行の金保有量は、2019年半ばから1,948トンで、まったく変わっていない。とにかく動向次第では、元と金価格の両方で望ましくない急騰を引き起こす。中国人民銀行は、米国債などを売って金を大量購入して、米国との金融戦争に備えているのだろう。(出典 MoneyWeek 2022.3.3)