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21 戦争経済 台湾の国防白書(2021)

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台湾の軍事訓練(Deutsche Welle)

 台湾の国防部は2021年11月9日、2021年の「国防報告書」を発表した。その中で、中国は台湾の南西防空識別圏を侵害するため、過去1年間に最大554機の軍用機を派遣したことを詳述した。また1949年の中華人民共和国の建国以来、中国が軍用機や軍艦の活動で台湾の生活空間をどのように脅かしてきたかを示した。

 報告書によると、1984年以前は、中国の軍用機と軍艦は、南東海岸に沿ってしか運航できなかったが、1984 年から2013年の間に、中国の軍用機は海岸から離れて海峡の中心線に近づくことができた。

●中国はグレーゾーンの脅威を運用

「グレーゾーン」の脅威とは、非戦争と非平和の曖昧な手段を指し、その手段は戦争の限界点に達しない、段階的な戦術によって脅威を増大させるために使用されている。台湾国防省は、中国の目的は台湾の戦闘力を消費し、人々の士気を揺るがすことにあると判断した。(「ボイス・オブ・アメリカ」2021.11.10)

 

●防衛予算の追加

 中国の軍用機が昨年前例のないレベルで防空識別圏を突破したため、台湾政府は2022年から約2,373億TWドルの5年間の特別防衛予算を提案した。 

 台湾は、権威主義的な中国による侵略の絶え間ない脅威にさらされている。中国は、自治領の島をその領土の一部として強制的に押収すると主張している。蔡英文大統領は、2016年に政権を握って以来、北京の台湾に対する騒ぎは、島を「一つの中国」の一部ではなく主権国家と見なしているため、防衛予算を大幅に増加させた。 

 AFPが作成したデータベースによると、昨年、台湾は約970機の中国 の防空識別圏への侵入を記録した。これは2020年に実施された約380機の2倍以上である。 

 1月11日に、台湾の議員は、特別予算を3億1000万TWドル削減したものの、全会一致で可決することに合意した。このパッケージは、2022年に設定された4,717億TWドルの記録的な年間国防予算を上回っている。 政府は、島の海と空の能力を高めるために、さまざまな精密ミサイルと大量生産の高効率海軍艦艇を「最短期間で」取得することを目指していると述べた。(france 24 2022.1.11)