シュールの本棚

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18 モスクワの盛衰 オリガルヒ

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ロシアの実業家ボリス・ベレゾフスキー(2012年 写真CNN)

 「オリガルヒ」(新興財閥) は、旧ソビエト連邦、特にロシアで使用された軽蔑的な用語で、ベルリンの壁の崩壊、その後の経済の自由化、そしてビジネスマンの寡頭制の出現によって生み出された。
 民営化によって、多数の国営企業、国家コンツェルンが旧ノーメンクラトゥーラ層(支配者階級)によって民営化された。この典型が、旧ソ連ガス工業省が形成したガスプロムから民営化されたガスプロム・グループや、石油採掘企業のルクオイル・グループがある。
●政治との癒着
 こうして成立した新興財閥は、政治家や官僚機構との癒着で勢力を拡大した。また一方、共産党の政権奪取を恐れた新興財閥は、1996年の大統領選挙で、支配下の各メディアを使ってエリツィンの再選に貢献をした。このプロセスは、ボリスエリツィンの大統領としての2期(1990〜 1999年)まで続いた。エリツィンは病んでいて、2期目を短くした。 1999年12月31日彼は辞任を発表し、元KGB大佐のウラジーミル・プーチンに全権を移した。
プーチン政権以降
 プーチン大統領の就任にともない、政権と新興財閥の関係に変化が生じた。プーチンはマス・メディアを行使して、政権と対立する新興財閥に抑制策を取った。プーチン大統領を始め、政権内のシロヴィキ(治安・国防関係省庁の職員)は、脅威となる新興財閥に容赦なく抑圧する一方、政権に忠誠を誓った財閥とは関係を深めている。「政治」に干渉するのをやめなければならない。 反抗者は、亡命、懲罰的な税調整、または刑務所のいずれかを選択することになる。 それらの中で最も有名な石油王ミハイル・ホドルコフスキーは、結局9年間刑務所のなかで過ごした。ボリス・ベレゾフスキーは2001年政治亡命した後もロシア政府の批判を続け、2013年ロンドン郊外の自宅のアパートでくびを吊った状態で発見された。(資料 oligarchs go shopping 2016)