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16 ソウルの盛衰 青年の失業

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OECD加盟国の15~24歳層の失業率(2020年6月基準)
newsweek 2020.8.14より

 2019年「OECD青年失業率」の統計を見ると、韓国では15~24歳層の人口の10.4%が失業状態にある。約100万人ほどの若者が失業者になる。これでもOECD平均の11.2%に比べ良い方という。
 しかし新型コロナウイルスの感染で企業が採用を控え、「就職準備生」である青年層(15〜29歳)の失業率が10.7%と上昇。韓国通貨危機の1999年6月(11.4%)以降、21年ぶりに最高値を記録した。
 特に25〜29歳の失業率(10.2%)は、1999年6月以降、歴代初めて10%台を突破した。
 また育児・家事などの具体的な理由もなく働かない人口が229万6000人で、1999年6月以降最大値を記録した。休労人口の増加は、特に20代(28.1%)と30代(29.0%)で最も大きく増えた。 (biz.chosun 2020.07.15)

●社会進出年齢の上昇も要因
 高学歴社会で大学進学が普通となると、就職年齢も上がり、就業現場に進出する青年の数が減少している。韓国では、1990年代までは社会進出年齢が兵役期間を含め専門学校を卒業すると、24〜25歳、4年制大学を卒業した場合、26〜27歳程度になる。しかし2009年ごろから、初期の過程を終えても、卒業猶予者が登場し始めた。その結果、30代前半に社会に進出するのが普遍的な現象となった。
 運が良く30代の前に卒業した場合、20代後半に社会に進出することになるが、それでも雇用市場の状況は厳しく、経歴職採用、高齢者優遇、退職者の再雇用の壁や、賃金ピーク制(高齢従業員の退職の代わりに、賃金を削って定年まで雇用を保証する制度)は、既成の労働者の反発で、企業は拒否か消極的に出るようになる。あれこれ青年層が就職しにくい環境に置かれている。低学歴者よりも高学歴者の方の失業率が高くなるという逆転現象も起きている。

●青年雇用率、青年失業率統計
 年度 青年失業率(%) 青年雇用率(%)
 2012 7.5 40.3
 2013 8.0 39.5
 2017 9.8 42.1
 2018 9.5 42.7
 資料/青年の失業 https://namu.wiki/w/청년실업