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11 米国の光と影 コロナワクチンの輸出と効果

コロナワクチン
 2021年前半の世界のワクチン輸出額は425億ドルで、過去10年間で過去最高を記録した。新型コロナ・ワクチン供給国は、ファイザー社の本社がある米国が一位と思っていたが、米国は4位であった。
 2021年上半期のコロナ・ワクチン供給国の一位はベルギーで、153億400万ドル(前年同期2.78倍)。これは主に、ファイザーのベルギーの施設でのCOVIDワクチン生産の増加による。2021年に、工場の能力は年間4億回から13億回に増加した。
2位は中国で、2021年上半期の輸出額は前年同期の約134倍。コロナ禍以前の中国のワクチン輸出額の世界シェアは1%以下だったが、WHOの緊急使用リストに載るシノファーム、シノバックの新型コロナワクチンが牽引した。
 中国の主なワクチンの輸出先はインドネシアアラブ首長国連邦UAE)、ブラジル、トルコなど新興国が中心で、ベルギーとは様相が異なる。
 3位は米ファイザーの拠点などがあるドイツで、前年同期の約21倍に。4位は米国で前年同期3.87倍。5位は米モデルナワクチンの生産や充填(じゅうてん)工程の委託先があるスイスが前年同期の約55倍となっている。以下、フランス、スペイン、アイルランドと続く。(資料日本貿易振興機構 2021年10月7日、pharmatimes 2021年11月2日)
*2021年上半期の主要国ワクチン輸出額トップ5
ベルギー 153億400万ドル(前年同期2.78倍)
中国  50億2000万ドル(前年同期133.6倍)
ドイツ  44億4900万ドル(前年同期20.62倍)
米国  31億900万ドル(前年同期3.87倍)
スイス  22億9400万ドル(前年同期55.15倍)
(出所:各国・地域貿易統計からジェトロ作成)
 
●ワクチンの効果
・予防接種プログラムがなければ、2021年6月末までに、約27万9000人の追加の死亡と、最大125万人の追加の入院があったでしょう。
・米国が実際のワクチン接種のペースの半分しか達成していなかったとしたら、12万1000人近くの追加の死亡と、45万人以上の追加の入院があったでしょう。
・予防接種プログラムがなかったとしたら、コロナによる1日あたりの死亡者数は、2回目の「2021年春の急増」で1日あたり約4,500人に跳ね上がり、最初の2021年の冬の急増で観察された1日あたりのピークの4,000人を上回っていたでしょう。(commonwealthfund 2021年7月7日)