シュールの本棚

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13 石油戦争 ウクライナ危機とトルコ(終わり)

エルドアン大統領

 ウクライナ危機は、トルコが2025年末に失効するロシアのガス供給契約を考えるときに勃発した。トルコはロシアの主要なエネルギー供給源で、石油、ガス、石炭の市場シェアは35%∼50%。
 アンカラは、供給者を1つに依存することの危険性を認識しており、近年、ロシアのガスの購入を減らすことを進めてきた。しかし、ウクライナ侵攻に対応して、ロシアからのエネルギー供給を削減する話はしていない。また、モスクワは、ドローンをウクライナに売ったトルコへの物資の削減についても言及していない。
 化石燃料の輸入に加え、ロシアの企業ロザトムは、トルコ初の原子力発電所のアックユ施設を建設中(2018年4月3日起工)で、2023年に第1段階の始動が予定されている。しかし、アックユ原子力発電所プロジェクトの遅延の間に、ウクライナ侵攻で、プロジェクトに資金を提供しているロシアの銀行の一部が制裁措置を受けて、ロシアのズベルバンクの欧州子会社が破産を申請したため、アンカラの立場はさらに困難になった。

イスラエルオプション
 イランからのパイプラインガスの供給は、冬の需要がピークに達する時期には、近年信頼性が低いことが証明されている。そしてイラクからの輸入はありそうもない見通しだ。おそらくトルコの希望として、東地中海地域からのガスがある。それは、トルコへのイスラエルのガスの推進を指す。
 トルコとイスラエルの関係は過去10年間ひどいものだったが、ここ数か月で著しい改善が見られ、トルコのエルドアン大統領がイスラエルの沖合油田からのガス輸入の見通しについて具体的に話した。(出典 EnergyIntelligenceGroup 2022年3月9日)