シュールの本棚

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12 石油戦争 リビアの石油戦争

首都トリポリにあるリビア国営石油会社(NOC

 北アフリカにるリビアは、2011年に元リビアの独裁者カダフィ大佐(1942-2011)が暗殺された後、10年の大部分の間長い内戦状態にあった。リビアには、アフリカ最大の確認埋蔵量である484億バレルの確認埋蔵量があり、世界の炭化水素市場で重要なプレーヤーとなっている。2014年から2020年にかけて、リビアの支配をめぐって武装勢力の間で紛争が発生した。
 この戦闘にはかなりの数の内部派閥と外部勢力が関わっている。たとえば、トルコは、トリポリに本拠を置く国家協定(GNA)に、毎日傭兵と武器を送っている。
 リビアへのトルコの干渉の動機は不明だが、豊富な炭化水素資産を確保するためかもしれないといわれている。これらの石油闘争は、2011年以来国の不安材料となっており、世界の石油市場に大きな影響を及ぼしている。

 しかし、内戦はリビアの石油産業を打撃し、国営石油生産者のリビア国営石油会社(NOC)は、2020年初めにハリファ・ハフタル将軍率いるリビア国民軍(LNA)によって石油資産が封鎖され、数十億ドルの損失を報告した。閉鎖はまた、リビアの石油生産の劇的な減少を意味した。
 戦闘による被害により、リビアの石油インフラはボロボロになった。原油を貯蔵する能力は2011年以前の2500万バレルから、わずか600万から700万バレルに減少した。

●地中海東岸
 リビアの海岸沖は地中海東部であり、この地域は天然ガスホットスポットとして浮上してきた。
しかし、天然ガスのハブになると表明してきたトルコとGNAは、東地中海諸国のガス開発計画を混乱させた。トルコのエルドアン大統領が、GNAを支援するために軍隊を派遣すると発表するわずか1か月前に、GNAのファイズ・サラージ首相は、海上協定に署名し、200マイルの東地中海をアンカラに渡してガス探査を行った。
 トルコは、復興プロジェクト、貿易協定、そしてリビアの広大な油井の管理において、可能な限り最大の利害関係を獲得しようとしている。

出典 alarabiya.net/2020.6.24 (注=GNAを率いたファイズ・サラージ首相は引退し、2021年3月16日、新しく国民統一政府(GNU)となる。しかし2022年4月19日の「Atalayar」によると、GNUに権力を放棄するよう部族の圧力がかかり、油井と港の閉鎖が続いているという)