6 戦争経済 9.11の被害額(2001)
2001年の9.11テロ攻撃から20年を迎えたあとも、この事件による米国経済に与えた被害額について議論が続けられている。
グローバルセキュリティ分析研究所(IAGS)によると、9.11の総費用は2兆ドルから3兆ドルの間という。
一方「ニューヨークタイムズ」の報告(2011.9.8)では、3.3兆ドル(379兆円、1ドル115円で換算)になると見積もっている。しかしその内訳を見ると、コストの大部分を占めるのは、攻撃による被害額よりも、その後の国の対策費にあてられた部分である。物理的損傷と経済的影響では1780億ドル(20兆円強)だが、その後の退役軍人のケア、戦争資金、国土安全保障に2兆2466億ドルが使われたことになる。
●9.11関連の出費内訳
◎物理的損傷 550億ドル(6.32兆円)
ニューヨーク市の監督官庁による、「破壊され、損傷した資産を交換するための費用見積り」(2002年)。
・世界貿易センターの建物 80億ドル(9200億円)
・その他の建物 50億ドル(5750億円)
世界貿易センターで亡くなった人々は、残りの労働年数で約100億ドル(1兆1500億円)を受領したと推定されている。
◎経済的影響 1,230億ドル(14兆1400万円)
攻撃の経済的影響の見積もりは、約400億ドルから1,220億ドルの範囲であった。(これは、攻撃で被害を受けた企業の移転にかかった時間(2~4週間)と、2003年までの航空便の客の減少に基づいている)
◎将来の戦争と退役軍人のケア 86.7億ドル(9970億円)
◎戦争資金、関連費用1兆6,490億ドル
◎国土安全保障、関連費用5,890億ドル 合計 3兆2,830億ドル
以上は2011年9月の「ニューヨークタイムズ」の記事からの引用であるが、次は、fox4nowの2021年9月の記事である。
IAGSは、貿易センタービルと国防総省ビルへの損害は、40億ドルから60億ドルの間であると報告している。攻撃直後のクリーンアップ作業に約13億ドル。物的損害の費用は100億ドルから200億ドルの間で、正確な調査が不可能なことがわかる。
攻撃による直接の失業は約8万3,000件で、これにより約170億ドル相当の賃金が失われた。 航空運賃減少による収入の損失は100億ドルで、保険会社の損失は400億ドルだった。(出典 www.fox4now.com 2021.9.9)