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3 イスラエルの作戦 ハフェズ大佐暗殺(1956)

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ハフェズ大佐(左)とハルカビ少将

 標的を暗殺する作戦は、イスラエル諜報機関にとって目新しいことではない。しかし、少なくとも1970年代までは、暗殺は最後の手段と見なされていた。

 1950年代、ガザのエジプト諜報機関の司令官ムスタファ・ハフェズ大佐は、イスラエル社会を恐怖に陥れる目的で、ガザ地区からアラブ人の工作員を送り込み、イスラエル人を殺害していた。ハフェズ大佐はその計画を担当していた。

   こうした動きに対抗して、1956年6月、イスラエルの軍部諜報部のディレクター、ハルカビ少将とハイムレバコフ大佐は、ハフェズ大佐の暗殺を画策した。

  ハフェズ大佐は、1956年6月12日、エジプト人の二重スパイから渡された本に隠された爆発装置によって殺害された。実行したエージェントは荷物の中味を知らされなかったため、彼も爆風で失明した。

 翌日、別の本爆弾が東エルサレム郵便局から、ヨルダンの首都アンマンのエジプト軍駐在武官サラ・ムスタファ大佐に送られた。彼もイスラエルに潜入者を派遣していたので狙われ、本の包みを開けて、その爆風で殺された。

  1960年代、郵便爆弾はイスラエル諜報機関の中心的な暗殺ツールで、エジプトのミサイル・プログラムを開発していた元ナチスのドイツ人科学者に対する作戦の一環として用いられていた。