シュールの本棚

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10「日本の謎」元寇

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『蒙古襲来絵巻』よりコラージュ

謎10 「元冠」勝利の訳

大帝国元は、日本攻撃をあと回しにした。すぐ隣の朝鮮には、1231年から20数年にわたり徹底的に侵略し、とくに1254年には男女20万人余が捕えられ、殺されたもの数知れず、蒙古兵の通った州都は「骸骨野をおおう」と高麗史に記される程の悲惨さであった。1260年には完全に元の属国となり、日本遠征を目ざす元は、過酷な労働と税負担で朝鮮人民を苦しめていた。

この圧制に対して1270年ついに立上がったのが高麗軍の一部である三別抄という軍隊の反乱である。1274年の「文永の役」は、この三別抄の反乱を鎮圧した翌年の蒙古、高麗の連合軍であった。兵力3万3千であったが、使用した船は食うものもない役夫が昼夜兼行で作ったもの。台風には耐えられるものではなかった。このように元寇の勝利は、台風だけでなく、朝鮮や中国民衆の有形無形のレジスタンスがあった。(資料=毎日新聞編『続々・雑学事典』1971)