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4 国際事件賠償 ナホトカ号重油流出事故(1997)

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流失した油を取り除く人々

 1997年1月2日、島根県隠岐島沖を航行するロシア船籍のタンカー「ナホトカ号」13,157総トンは、暖房用のC重油を約1万9,000キロリットル積み、12月29日上海を出港、ペトロパブロフスクへ航行中だった。強風のため午前2時、機関出力が低下、3時頃船体に亀裂が入り、機関室に浸水が発生した。バレリー船長は退船を決意し、31名の乗組員は数隻の筏と救命ボートに分乗した。その後船体は島根県近海で沈没し、分離した船首部分は漂流した。

 

●油回収作業

 海上では海上保安庁海上自衛隊が、また重油が漂着した海岸では、地元住民や全国のボランティア、自衛隊員が回収作業に当たった。三国町座礁した船首に残る2800klの重油も漏れ続けられた。 船首の調査は高波のため難航。海岸では4000人以上が重油回収作業が行われた。座礁した船首部分の油タンクに残った重油は、海上での回収作業および陸上からの仮設道を利用した回収作業により、2月25日に回収を終えた。 

 

●損害賠償請求

 この事故に関し、日本国政府および海上災害防止センターは、重油の防除作業など損害賠償などの支払いを、ナホトカ号の船主(プリスコ・トラフィック・リミテッド )、船主責任保険組合(UKクラブ(英国)) 

に対して1999年12月に東京地方裁判所へ提起した。その後、2002年8月に和解が成立した。

補償金額はクレーム総額=358億円、最終査定=261億円。

油濁補償2条約による補償上限額=225億円。和解による支払額、船主=110億円、92年基金=151億円であった。

 その他の被害者の補償額は、漁業者 =17億6900万円、観光業者=13億4400万円、地方自治体 =56億3800万円、船主=7億7400万円、その他 =22億6500万円であった。(資料 ナホトカ号油流出事故における油濁損害賠償等 (資料「ナホトカ号油流出事故における油濁損害賠償等請求事件に係る訴訟の和解について」(国土交通省