4 ローマの盛衰 ムッソリーニのローマ進軍
ローマ進軍(Marcia su Roma)とは、1922年10月にイタリア王国で起きたムッソリーニ(1883 - 1945)率いる「ファシスト党」および党の民兵組織「黒シャツ隊」による、政権獲得のためのクーデター計画のことである。
1922年10月24日、ファシスト党はナポリで党大会を開き、黒シャツ隊を集結させ、首都ローマへの進軍を命じた。ローマに向けた進軍が始まると、ファクタ首相(任期1922年2月–10月)は、閣議で戒厳令の発動に踏み切る決意をした。しかし国王エマヌエーレ3世(在位1900~46)は、戒厳令の発動を拒否し命令書に署名しなかった。そのためファクタ首相は辞任に追い込まれた。
10月29日、黒シャツ隊は首都ローマへ無血入城を果たし、国王は同日、ムッソリーニに組閣の大命を下した。国王エマヌエーレ3世よりムッソリーニに組閣の命が下ったことで、実質的に無血クーデターとなった。11月16日、ムッソリーニは商工会議所に行き、首相としての最初の演説を行った。
以後イタリア王国は1943年までの約20年にわたる、統制的かつ全体主義的なファシスト政権時代に入った。
●影響
1923年11月、ドイツではヒトラー率いる国家社会主義ドイツ労働者党が、「ローマ進軍」を参考にミュンヘン一揆を起こす。