シュールの本棚

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24 上海の盛衰 1862年の上海を見た日本人(終り)

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1862年の上海バンド(図版=virtualshanghai.net)

 1862年6月13日の朝、前マストにオランダ国旗、中央に米国旗、後部マストに日の丸を掲げた商船は、黄浦江を航海し上海港に停泊した。「千歳丸」と名付けられた358トンの商船は、長年封鎖政策を実施してきた徳川幕府が、中国に正式に派遣した最初の日本船であった。この船には長州藩高杉晋作が乗り、当時の上海を通して、世界の情勢を垣間見ることができた。千歳丸の最大の役割は上海での現地調査。当時は「太平天国の乱」(1851年 - 1864年)の最中で、上海でも避難民があふれ、餓死した人や散乱するゴミで、清朝も衰退の様相を呈していた。