15 プーチンの秘密 逃げるオリガルヒ
2022年3月14日夜、イスラエルとロシアのオリガルヒ、ロマン・アブラモビッチ(1966~)が所有する民間航空機が、モスクワからテルアビブに着陸しているのが発見された。
金属と石油の大御所であるアブラモビッチが、この飛行機に乗っていたのかは定かではないが、アブラモビッチの資産、そして十数人以上のロシアのオリガルヒの資産が、西側政府が前例のない経済制裁により、これまでのプーチンの支持者だった彼らが、今後のプーチンへの対応が気になるところである。
アブラモビッチは最近、カナダとイギリスによる懲罰的措置に苦しめられ、彼が所有するチェルシー・サッカークラブの運営資格を失った。
一方イスラエルは、これまでロシアに対する制裁に加わったり、クレムリンを直接批判したりすることを避けてきた。また、国内に資産を持つロシアのオリガルヒに対しても何の措置も講じていない。
イスラエルに現在何人のオリガルヒがいるのか、正確にどの資産を所有しているのかについての明確なデータはない。ロシアの新興財閥は、ロシアがウクライナのクリミア半島を併合した後に制裁が課された2014年以来、資産を巧みに隠す方法を学んだ。そして今、彼らは巧みに他の人に「彼らの邸宅、コンドミニアム、美術品の所有権を譲渡」している。
●イスラエルで最も著名なオリガルヒ
2018年の推定によると、ロシアに関連する約30〜40人の大物がイスラエルの市民権または居住権を取得しており、そのほとんどは、一時的にしか滞在していない。
現時点では、何人が残っているかは不明だが、アブラモビッチは確かにイスラエルで最も目立つオリガルヒである。「フォーブス」によれば、彼は国内で最も裕福な男性の1人と見なされており、2022年の純資産は昨年4月の145億ドルから72億ドルと推定されている。
オリガルヒの研究者によって「プーチンの財布」と評されたアブラモビッチと、西側諸国で資産を購入したことで起訴された彼の金持ちの一人は、今回の制裁に不思議ではない。
ミハイル・フリードマン(1964~ )、ピョートル・アヴェン(1955~)、ゲルマン・ハン（1961~）、ヴィクトル・ヴェクセルベルク（1957~)のような、他のユダヤ系ロシア人のオリガルヒも、プーチンとのつながりがあるとされているため、国際的に制裁を受けている。合わせて210億ドルの価値があるフリッドマン、アヴェン、ハンは、「ユダヤ人のノーベル賞」としても知られる年間100万ドルの「ジェネシス賞」を授与する「ジェネシス・フィランソロピー・グループ」（GPG）の背後にいる。
彼らはまた、2018年に米国財務省によって発表された制裁の可能な標的のリストにある著名なロシア人の210人の名前の1つ。
「プーチンのリスト」のうち、少なくとも18人の人物はユダヤ人の背景を持っており、近年、世界中のユダヤ人の慈善団体に多額の寄付をしている。彼らの寄付は、ホロコーストを記念し、ユダヤ人のアイデンティティを教え、反ユダヤ主義と戦うための努力を形作った。多くの人が、ロシアのハシディズムのユダヤ人支援運動であるハバドや、モスクワのユダヤ博物館と寛容センターにも寄付をした。しかしこのトリオは、ロシアが侵攻した数日後、ウクライナのユダヤ人コミュニティに1,000万ドルを寄付した。3月2日、ミハイル・フリードマン、ピョートル・アヴェンはEUから新たな制裁を受けた。(出典 times of israel 2022年3月14日)
