シュールの本棚

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14 ユダヤ人の秘密 日露戦争の軍資金

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ニューヨークのシフの邸宅

 日露戦争の軍資金の調達を支援したジェイコブ・シフ(1847–1920)は、ドイツ生まれのユダヤアメリカ人の銀行家。ジェイコブの父は、ロスチャイルドのブローカーだった。
 彼は1861年に銀行および証券会社に見習いとして雇用された。1875年にクーン・ローブ商会に入社し、1885年に責任者になった。その後、ペンシルベニアなどの東部鉄道などの鉄道会社への融資に貢献した。

 シフの最も有名な融資活動は、日露戦争(1904-1905)の際に起きた。シフは1904年4月に、ロンドンのヒル邸で高橋是清(1854-1936)副総裁と対面し、2億ドル(2020年の46億ドルに相当)の日本への融資に合意した。第一回の公債は1904年5月11日。この融資はまた、ロシアの反ユダヤ主義的行動、特に1903年ユダヤ人弾圧にあったユダヤ人への救援が、この融資の決め手となった可能性が高い。

 この日本公債は世界中の注目を集めた。日本の国内経済はまだ未知数であり、日本の軍備は大量の輸入に依存していた。そしてこの契約は、シフだから可能になったと言える。2回目の公債募集はロンドンとニューヨークで行われ、ニューヨークは1904年12月5日、この機会に高橋是清は、ニューヨークのクーン・ローブ商会を訪問し、シフの案内で商会の大きな金庫を見学している。この功績でシフは、1905年に日本の瑞宝章を授与した。

 1917年3月にロシア帝政が倒壊し、暫定政府を代表するケレンスキーが、ユダヤ人を平等な市民と宣言すると、彼はケレンスキー政権に多額の融資を行った。しかし1917年11月に、ボルシェビキが権力を掌握すると、シフはすぐに彼らを拒否し、さらなる融資を断ち切った。そして反ボルシェビキ・グループへの資金提供を開始し、ボルシェビキケレンスキーに融資したお金の一部を返済するよう要求した。