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18 戦争経済 第二次大戦中のアメリカ経済

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大戦中に米国が欧州の連合国に送る兵器

 1939年から1941年にかけてアジアとヨーロッパでの戦禍の拡大に伴い、米国政府のリーダーは、軍隊を拡大するとともに、アメリカの産業基盤を、兵器やその他の戦争物資の生産へと転換した。

 

●対外援助

 1941年に開始された「レンドリース(武器貸与法)」プログラムの一環として、アメリカの商品をヨーロッパの同盟国に運んだ。1941年から1945年の間、米国はレンドリースを通じて約325億ドル相当の商品を輸出し、そのうち138億ドルは英国に、95億ドルはソビエト連邦に輸出された。

 戦争は、航空機、船、軍用車両、および軍需品が常に量的に最も重要なレンドリース商品だが、食品も英国への主要な輸出品された。

 1942年1月、民間と軍のニーズをかみ合わせるための別の取り組みの一環として、軍需生産委員会が設立され、戦時経済を管理した。

●課税

 財務省は、アメリカ史上初の「戦時国債」など、戦争のために支払うお金を生み出しに成功した。1940年以降、政府はアメリカ人の所得税を拡大し、給与からの源泉徴収で税金を徴収し始めた。連邦税を支払う人の数は、1939年の400万人から1945年には4300万人に増加した。このため、アメリカ政府は1945年に450億ドルを受け取ったが、1945年の戦費830億ドルには及ばなかった。そこで同じ期間に、連邦税収はGDPの約8%から20%以上に増加した。年収500ドルの人は23%の税率で所得税を支払い、年収が100万ドルを超える人は94%の税率を支払った。その結果、平均所得税率は1944年に20.9%に達した。

●戦時国債

 こうして税金収益は、戦争の総費用3,040億ドルのうち、約1,368億ドルを提供した。残りの1,672億ドルをカバーするために、財務省はその債券プログラムも拡大し「戦時国債」を作成した。1946年に戦時国債の販売が終了するまでに、8,500万人のアメリカ人が、1,850億ドル以上の有価証券を購入した。銀行のような商業機関も債券やその他の財務書類を購入し、終戦時に240億ドル以上を保有していた。

( 資料/クリストファー・J・タサバ  EH.Net - Economic History Services)