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16 イスラエルの作戦 9.11実行犯を監視していたイスラエル・スパイ(2004)

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容疑者(赤)と監視者(緑)で示された地図

  2001年の9.11事件は、テロ組織の情報がCIAとFBIとのあいだで共有されていなかったため、未然に防げなかったといわれている。ではその事前の情報は、どこからもたらされたものか?多くの情報のなかのひとつは、イスラエルモサド機関からのものであった。その詳しい経緯については、 2004.9.15に発表された報告書『米国へのテロ攻撃に関する全国委員会等へのメモランダム』とのタイトルで、166頁にわたる調査報告書がある。それは、9.11攻撃の実行犯に対し、米国在中のイスラエル組織による事前の監視があったが、適切な報告がなかったことに対して公的調査の必要性を説いたものである。

●なぜイスラエルのグループか?

 米国でアラブのグループを監視下に置いたのは、イスラエルのDEA(麻薬取締局)グループと、モサド戦線であるアーバンムービング・システムズの職員である。彼らの使用したバンは、盗聴機器を備えた理想的な車両で、監視下にあったグループは、地上回線や携帯電話を頻繁に使用するため、監視にふさわしい対象となった。(彼らの監視目的は、DEAの場合テロ組織の麻薬売買による金の流れを知るためであったり、モサド戦線の場合には、テロ組織の活動を調査することにあったが、もちろん違法行為である)

●報告内容

1. 9月11日までの数か月間、イスラエルのDEAグループは、将来のハイジャック犯や米国のアラブ・グループを監視下に置いていた。イスラエルのDEAグループと、9.11ハイジャック犯の両者の作戦基地は、フロリダ州ハリウッドとその周辺にあった。(地図参照)

2.同じ期間、イスラエルニュージャージーグループは、マンハッタンからハドソン川を渡ったアラブ・グループを監視していた。

3.イスラエル政府は、治安機関モサドを通じて、2001年8月に、米国在中のアラブのテロリストによるアメリカへの攻撃計画があると米国に警告している。

4.モサドの警告は曖昧かつ遅すぎたため、米国内の不特定の場所での攻撃防止、または容疑者の拘束措置ができなかった。

5.イスラエル政府が、すべての重要な情報をアメリカと共有しないと決定した理由、およびその情報の範囲が公的調査の対象となった。結論として、彼らの監視活動が後に公の問題になることを危惧して、ある種の警告を慎重に考えたかもしれないという。

6. CIAは、9月11日以前に、イスラエルグループによるアラブグループの監視を、どの程度認識していたか、容認の可能性の有無、およびその程度についての報告である。