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19 CIAの作戦 モスクワオリンピックのボイコット

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モスクワ・オリンピックとターナー長官

 1980年モスクワ・オリンピックは、1980年7月から16日間、モスクワで開催された。この大会に、米カーター大統領は、前年12月のソ連アフガニスタン侵攻を理由にボイコット(1980年1月)した。以下は、1月9日づけのCIA長官から大統領へのボイコットに関する関連メモの内容である。

 

●1980年1月9日のメモ 宛先 大統領他 テーマ「ソ連:オリンピックの準備:

1. 添付書類「ソ連:オリンピックの準備」は、オリンピックのボイコットの可能性に関する、興味深い資料の可能性あり。
 CIAのアナリストによれば、ソ連国内でのボイコットによる影響は、西洋化する一部の反体制派には良いが、外国人排斥に対する傾向が強化されることで、相殺されると考えられる。

  国際的には、ボイコットがアフガニスタン問題を継続させ、ソビエトを国際社会の複数の組織からの継続的な批判の矢面に立たせることになる。

   しかしソビエトはまた、ボイコットに同情的な国際的な聴衆の前で苦しむ党の役割となり、ボイコットに対する国際的な意見の不一致を利用して、米国と非ボイコット国との緊張を悪化させることになる。

2. ボイコットによる経済的損失については、わずかと考えている。主に、損失は観光と放映権からの収入の減少に限定される。

   ソビエトは、推定2億5000万ドルの収入を見込んでいる。しかしこの収入の大部分(おそらく3分の2)は手元にあり、ソビエトはボイコットが発生した場合、すでに受け取った現金の払い戻しを躊躇するだろう。

 たとえば、米国の放映権に対する7400万ドルの援助のうち、500万ドルを除くすべてがすでに支払われている。ゲームへの参加を希望する外国人観光客(少なくともアメリカ人)は、1979年末までにオリンピック・パッケージツアーの前払いを義務付けられた。ゲームの完全なキャンセルを除いて、モスクワは、個々の参加国に関係なく、外国人観光客を歓迎すると主張するだろう。               

             CIA長官スタンスフィールド・ターナー(CIA2011年7月20日公開資料より)