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12 CIAの作戦 南米チリ大統領の排除(1973)

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クーデター(左)とカストロとアジェンデ(右)

 1959年のキューバ革命以降、米国政府は南米の共産化に伴い、CIAによる反共産支持者に対する援助を始めた。

1962年、チリでは左派が増大し、保守的な軍隊との分裂に至った。そこでCIAは、1963年から10年間、チリでの秘密活動に1000万ドル以上を使った。CIAの活動の目的は、マルクス主義者の国会議員アジェンデ(1908 -1973)の活動の阻止だった。64年の選挙でのアジェンデの敗北の要因は、反アジェンデ陣営が選挙資金の半分以上をCIAから受け取っていたことがあげられる。70年9月の大統領選でも、ニクソン大統領はアジェンデ当選を阻止するよう、キッシンジャーとCIAに命じた。この命令を受け、CIAは議員買収に着手したが、議員買収は失敗しアジェンデの大統領が就任した。

 CIAはアジェンデ体制を批判するグループに資金を流し続け、政権打倒のための軍事クーデターを画策し続けた。まず最初が金融封鎖だった。米国の銀行や国際金融機関に、チリに融資を行わないよう圧力をかけた。またトラック所有者の協会に資金を提供し、長期にわたるストライキを敢行させた。このストライキでチリの流通が麻痺し、大きな打撃を与えた。

●9.11クーデター

  1973年9月11日、チリの首都サンティアゴ・デ・チレで、クーデター軍が大統領府を襲撃、アジェンデは最後のラジオ演説を行なった後、死亡した。司法当局が2011年5月、遺体を発掘した結果、カストロにもらった自動小銃を使って自殺したことが確認された。

●チャーチ委員会によるCIA活動調査

 1975年に、米国議会は政府の情報活動を調査する委員会を選択した。ロッキード事件(1976) で知られるチャーチ委員会は、76年4月に活動報告を行い、1963~73年のチリでのCIAの秘密活動を明らかにした。(出典 Spies, Wiretaps, and Secret Operations by Glenn P. Hastedt 編. 2011)