9 有名人のスパイ 勲章をもらったゾルゲ
リヒャルト・ゾルゲ( 1895 - 1944)は、ソ連のスパイ。1933年から1941年までの8年間にかけて日本で諜報活動をおこなった。彼の非凡な活動は多くの書籍や映画でも取り上げられる、もっとも有名なスパイの一人である。
ゾルゲがあれほどの成功を収めた理由を、ゾルゲの裁判の通訳を務めた上田敏郎氏が次のように語っている。「ソ連本部は海外特派員に対し、諜報活動と党活動の二重の仕事を司令している。しかし党員が逮捕されると諜報活動まで機能を失うので、ゾルゲはこのやり方に反対し、彼の組織にはロシア人を諜報員には用いなかった」という。また諜報員はロシアのシンパであったが、日共との交際は絶対に避けたという。
彼の1936年から41年までの資金として、3万4500ドルと1万8300円をあおいでいる。しかし5年間に4万ドルは、諜報団としては多額とは言えない。これもゾルゲが資金を私用に使わず、団員をうまく統率していた賜物であったと言う。彼は逮捕されて死刑になったが、ソヴィエトでは、彼の葬儀が盛大に行われ、勲章が授与された。