シュールの本棚

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10「作家の死」ハックスリー

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ハックスリー 死因・LSD多量投与(69歳)

 オルダス・ハクスリー(1894年 - 1963)は、イギリスの著作家。作品に『すばらしい新世界』(1932)、『知覚の扉』(1954)がある。1953年、メスカリンによる実験を行い、このときの経験を考察したのが『知覚の扉』である。

 1963年の終わりごろ、ハクスリーが咽頭ガンによる危篤状態にあった。11月22日昼、看護師や医師が室内にいたが、ハクスリーは妻ローラに「LSDを100マイクログラム注射して欲しい」と書いて渡した。2時間後、変化が少ないので、ローラは2度目のLSD注投与をする。妻はハクスリーに「あなたは高みに向かっている。光に向かって喜びに満ちて進んでいる。これまで感じたこともない大いなる愛に向かって。」という言葉を彼に語りかけ続けた。ハクスリーの呼吸は次第にゆっくりとなり、午後5時20分に息を引き取った。チベットではかって、末期の病人の枕元で「チベット死者の書」を詠んで死者をあの世に導いたが、これはその現代版ともいえる。