9「作家の死」ヘミングウェイ
『老人と海』で有名な作家、ヘミングウェイ(1899-1961)は、散弾銃で自殺している。彼の父も病気と投資の失敗で、1928年に拳銃自殺をしている。父のモットーは「何も恐れるな」であるが、この死はヘミングウェイの人生を通じて悩ませることになる。
ヘミングウェイの病歴については、ポール・ジョンソンが『インテレクチュアルズ』で書いている。
「体は頑丈だったが、アルコールは悪影響も及ぼした。1930年代後半に肝臓がやられる。1949年には、スキー中、目に小さいごみがはいり、それが丹毒へと発展した。
スペインでの大酒宴(1959年)につづいて、肝臓と腎臓両方で障害が起き、血鉄素症にかかった。また足首の浮腫、腹部の差しこみ、慢性の不眠症、血液の凝固、高血圧による尿毒症、そして皮膚病にも悩まされるようになった。性的にも不能となり早くも老衰の兆候を示していた。
父親は死に至る病への恐れから自殺した。ヘミングウェイは、1961年7月2日、鬱病と偏執病の治療に失敗した後、二連発式散弾銃に弾を二つこめ、頭蓋をぶっとばした。」