11 ローマの盛衰 フィアット社の軌跡
フィアット( FIAT )は、イタリアの自動車メーカーで1899年にトリノで創業された。現在は、ステランティス N.V. の子会社である。社名のFIATとはFabbrica Italiana Automobili Torino(トリノのイタリア自動車製造所)の頭文字を取ったものである。
第二次世界大戦中は、軍用車や航空機を生産していた。1943年イタリアは連合軍に降伏、その後も本社のあるトリノなど北部がドイツ軍の占領下におかれ、生産は停止した。
イタリアが戦災から復興し、1950年代から60年代にかけて「イタリアの奇跡」と呼ばれる経済成長を遂げ、一般用高速道路「アウトストラーダ」の拡張や、自家用車の普及が進む中で「500」(ヌォーヴァ)や「600」などのヒットモデルを送り出した。
●デザイン戦略
1990年代は「ブラーボ/ブラーバ」とジョルジェット・ジウジアーロのデザインした初代プントがヨーロッパで大ヒットした。その後もEU発足後の日本車の輸入規制撤廃による競争激化などを受け、不安定な経営状況が続いた。
2004年にはニューパンダが、ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。グランデプントが2006年1月のヨーロッパ市場での販売台数1位になる。
●買収と提携の軌跡
・1960年代後半から1980年代にかけて、「「フェラーリ」(1969年)、「アバルト」(1971年)のほか、経営不振に陥っていた高級車メーカーの「ランチア」を1969年に買収した。さらに「アルファロメオ」を1986年に傘下に収めた。
・フェラーリを子会社化
1988年にはフェラーリを完全子会社化した。
・GMとの提携解消
2000年より自動車部門でゼネラルモーターズ(GM)と提携していた。だが、2005年にゼネラルモーターズ側が一方的に提携を解消した。その後は、GMから得た違約金を原資に、経営の建て直しをはじめた。
また、2005年には経営建て直しの一環として、相次いで新型車を発表した。1番は「クロマ」。2番は、「グランデプント」を7月28日発表。2006年1月には同モデルがヨーロッパ市場で販売台数1位になる。
・クライスラー・マツダとの提携
2009年1月には、クライスラーに資本参加し、35%の株式を取得する資本提携合意を発表した。フィアットは、クライスラーが北アメリカ市場で燃費性能の高いコンパクトカーを生産するための技術などを提供すると同時に、北アメリカ市場以外におけるクライスラー車の販売でも協力することを表明した。
・マツダと業務提携
2010年4月、フィアットは産業機械および商用車部門を分離すると発表。2012年5月にマツダと業務提携を発表。マツダ・ロードスターの4代目モデルをベースとした新車を、フィアットから124スパイダーとして販売されることが発表された。
・持株会社FCA
2014年1月、クライスラーを完全子会社化すると発表、同年10月に合併、新たに設立された持株会社「フィアット・クライスラー・オートモービルズ」(FCA)の傘下にフィアットとクライスラー両社が置かれる企業形態となった。(資料 ウィキペディア)