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7ローマの盛衰 マフィア撲滅に散った裁判官

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爆発による暗殺直後の高速道路

 ジョヴァンニ・ファルコーネ(1939 - 1992)はイタリアの裁判官。その生涯をマフィア撲滅運動に捧げ、マフィアに暗殺された。
1978年、キンニーチ判事がパレルモ地裁の予審部長に就任。ファルコーネは彼のもとで、銀行口座からマフィアの金の動きを洗い出する捜査方法で成果を挙げた。しかし1983年7月、キンニーチはマフィアに暗殺される。ファルコーネにも危険が迫っていたが、マフィア撲滅の決意を変えなかった。
 1984年、マフィアに関する情報提供者ブシェッタを事情聴取する。彼の証言に基づいて、マフィア関係者の裁判が開始された。この裁判は1987年12月に結審し、被告456人のうち342人が有罪になる。
●ファルコーネ暗殺
 ファルコーネは精力的に取り締まりを行い、マフィア関係者から最も邪魔な人物と看做される。
 1989年6月、ファルコーネを狙った爆弾テロ未遂が発生。彼の別荘間近の海岸に強力なプラスチック爆弾が仕掛けられ、爆殺を狙っていた。
 そして1992年5月23日、事件はマフィアの本拠地シチリア島で起きた。午後5時57分、シチリア島パレルモ空港から州都パレルモ市街へと向かう途中のカパーチで、ファルコーネは妻と3人の警察官もろとも仕掛けられた爆弾で爆殺された。
 しかし、この事件を期に、イタリア国民のマフィアへの反感が一気に高まった。ファルコーネとボルセリーノ判事が暗殺された翌年、パレルモ市内で約1万人が彼らの死を悼んでデモ行進を行った。その後マフィアに対する取り締まりが強化され、近年では殺人などの凶悪犯罪は減ってきている。(資料 エクスペディア、写真はイタリア版より)