6 ローマの盛衰 ローマの撮影所
ローマの南西5.6マイル、静かな郊外に隠れ、有名なアッピア街道からすぐのところにあるチネチッタ・スタジオ。 99エーカーの面積で、ヨーロッパで最大の映画スタジオ。チネチッタは「シネマシティ」を意味する。
チネチッタスタジオは、ファシズムを促進するプロパガンダ映画に使用するために、1937年にムッソリーニによって設立された。イタリア最大かつヨーロッパでも有数の映画撮影所で、大規模な屋外セットやスタジオ、フィルム編集設備などが備えられている。
●戦後の復興
第二次世界大戦では、連合国軍の空襲により、一部が破損したが、1950年代の終わりまでに、「トロイのヘレン」(1959)を含む一連のヒット映画が背後にあり、シネチッタはアメリカでも高い評判を確立していた。1957年に監督のウィリアム・ワイラーは、チャールトン・ヘストン出演の映画「ベン・ハー」を撮影するために来た。300以上のセット、1万人のエクストラ、10万着以上の衣装を使用し、予算は1,500万ドルを超えた。最も有名なシーンは、ベン・ハーとメッサラの戦車レースで、セットの作成には100万ドルの費用がかかったという。
●ビジネス環境
1980年代には、イタリア映画の衰退を受けて収益が悪化し、破産の危機に陥ったが、国営化されることで危機を乗り切った。
現在は、近くにローマ地下鉄A線の駅ができ、周辺に新興住宅街やオフィスビル、大規模なショッピングセンター「Cinecittà 2 Centri Commerciali」が建設されるなど、新たな賑わいを見せている。
なお、完全に映画に特化したイタリア初のテーマパーク「チネチッタワールド」は、ローマ郊外のカステル・ロマーノに7月24日にオープンする。2億5000万ユーロのテーマパークは、年間最大150万人の来場者を予想されている。(italymagazine 2014.7.13)