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5 モスクワの盛衰 救世主キリスト大聖堂

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救世主キリスト大聖堂

 モスクワ中央部モスクワ河畔に位置するロシア正教会の大聖堂。無神論を標榜するロシア革命により、政権を奪取したボリシェヴィキにとり、信徒の支持により存続するロシア正教会は脅威であった。「宗教はアヘン」とするソビエト政権は、ロシア正教会に激しい弾圧を行った。すでに1929年の前半には、国内で400以上の教会が閉鎖され、そのペースは加速していた。8月には、さらに103の教会が同じ運命をたどった。
 1931年、ソビエト宮殿設計コンペが開始され、ソビエト大宮殿建設予定地には、救世主ハリストス大聖堂の場所が指定された。スターリンの指導するソ連共産党の決定により、1931年12月5日大聖堂は爆破された。
 聖堂の爆破解体後、第二次大戦やスターリンの死去などの要因が重なって、新宮殿建設は中止となった。宮殿の建築予定地には屋外市温水プールが建設され、モスクワ市民に利用された。
 1990年、ロシア正教会の組織である聖シノドは、救世主キリスト大聖堂の再建を祝福し、大聖堂再建の許可を政府に正式に要請。1990年12月5日には将来の再建意図を明示した記念碑が据えられた。
 1995年1月7日、大聖堂の再建場所に礎石が据えられた。1997年9月には、モスクワ建都850年祭で重要な場所として、大聖堂外壁の彫刻や、大聖堂内部のフレスコ画の描画等の工事が始まった。大聖堂全体の成聖式は2000年8月19日に行われた。(資料・写真 救世主キリスト大聖堂HP)http://new.xxc.ru/about/istoriya_hrama/razrushenie