シュールの本棚

世界で日々起きていることは、現実を超えて進んでいる

5パリの盛衰 フランス絵画のなかの売春婦

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図1 エドガー・ドガ、カフェの女性、夕暮、1877年、オルセー美術館

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図2 エドゥアール・マネ、「ナナ」1877年、ハンブルク美術館 

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図3 オーギュスト・ルノワール、「居酒屋」1877〜78年、シカゴ美術館

ルイ・フィリップの治世(在位 1830 - 1848)の芸術家や作家の世代は、都市の路上での性的商取引を最初に体験した。パリの売春婦の人口は多く、1800年にはパリで公然と働く売春婦の数が劇的に増加したのは1830年代のこと。その急上昇は当時の都市の成長の副産物の1つ。顧客は田舎からの求職移民と無職のパリの労働者だった。売春婦の顧客は、ほとんどが都会に出て来た男性労働者か、女性とアクセスできない中級および上級のパリジャンであった。一方、出版物や絵画でも、その影響が見られた。1879年にエミール・ゾラが書いた小説『ナナ』(Nana)は、5万部のベストセラーとなった。画家のセザンヌオリンピアンのシリーズは1870年頃に始まり、1877年頃の水彩画で最高潮に達した。ルノワールのゾラの「居酒屋」のイラストは1878年に公開された。
資料 Hollis Clayson, Painted Love - Prostitution in French art 1991