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22「仏教の秘密」 敦煌の養生法

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甘粛省敦煌莫高窟(ばっこうくつ)492カ所の石窟がある(合成)

 

秘密22 仏教の教えを「養生法」に取り入れた知恵

養生の本質は健康な長寿である。千数年来、敦煌(とんこう)の人々は、この目標を求め、豊富な養生と保健の方法を創造した。敦煌の古代の養生は豊富で、諸家それぞれの長所を取り入れた。儒家は「精一執」と言い、道家は「抱一守中」と言い、仏家は「座禅」「止観」を用いる。

●佛教の疾病に対する考え

敦煌の文書のおよそ90%以上が仏教書である。関係する仏教文書(《心経》、《延命益寿経》、《救護疾病経》、《観無量寿経》、《救護衆生悪習経》、《効善経》、《大智度論》、《摩訶止観補行》など)で、相当数が、治療経験によって病気を取り除き、次第に自身の理論体系を形成する。長寿を追求し長生不死を求めることが、浄土思想の中国化だった。

その他注意したいのは、敦煌の文書の一部が北朝時期の中国和尚のいわゆる"偽経” (佛教の中国化を指す) であり、その中に「延年益寿」がある。病気治療の方法に、薬物、飲食、養生と運動、あん摩、修功、観想などの治療法を用いる。これらの方法は、漢方の養生法と一体になって、敦煌養生法の重要な構成部分となった。

●佛教の治療法

敦煌仏教の教義には、人類の"苦難"に関心を持ち、人生の価値、意味に判断を与え、人々の行為の準則と規範(戒律)を提出した。同時にその治療方法を示す。それには、不浄観、慈悲観、因縁観、数息観、念仏観、空観などがある。

●佛教と飲食

敦煌の仏経典の中で"五戒"に言及し、その中に禁酒を定めている。仏教は一方では戒めと菜食に堅持して、一方で茶を勧めている。仏教は朝かゆ、正午の食事で、午後は食べない決まりがあり、これで僧侶達の一日に吸収する熱量は低いレベルに保たれ、長寿に利益がある。

出典 「敦煌古代体育文化」李重申著(甘粛人民出版社2000)