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2「仏教の秘密」龍樹

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王宮に忍び込む竜樹たち インド宮廷画のコラージュ

秘密2 龍樹はなぜ出家したか?

 

空の哲学を広めた龍樹(りゅうじゅ)は、インドの僧で2世紀に生まれた。

鳩摩羅什訳の『龍樹菩薩伝』によると、龍樹は南インドバラモンの家に生まれ、当時、勃興していた大乗仏教運動を体系化した。龍樹は才能豊かな3人の友人を持っていたが、ある日互いに相談し、これからは快楽を極めようと相談した。彼らは術師から隠身の術を得ると、それを用いて自在に後宮に入り込んだ。100 日あまりの間に宮廷の美人は全て犯され、懐妊する者さえ出た。この事態に驚いた王は賢者に相談して、門の出入口に砂を撒き、足跡があれば報告するよう命じた。門衛が4人の足跡を見つけると、王は全ての門を閉ざし、刀を持った数百人の力士を連れて、至る所で刀を振り回した。このため竜樹の3人の友は皆切り殺され、王の影に隠れた龍樹だけが助かった。この時彼は、愛欲が苦悩の原因と悟り、これからは出家することを決心した。

 無事逃げた竜樹は、それから小乗の仏典をわずか 90 日で読破し、更に経典を求めヒマラヤ山中の老比丘から大乗仏典の一部を授けられた。これを学んだ後、仏典の表現の不備な点を整理し、弟子には新しい戒律を授けた。そして大龍菩薩は龍樹の情熱を見込んで彼を海底の宮殿に連れて行き、諸々の経典を授けたのである。(資料 「国訳一切経史伝部」6)