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7「日本の謎」日露戦争

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黄金山から旅順港のロシア艦隊を狙う大砲 (参照=Le Patriote Illustré)

謎7 日露戦争の軍資金をどう工面したか?

 

日露戦争(1904 - 1905)が始まって心配なのは軍資金の不足である。当時日銀副総裁だった高橋是清(1854 - 1936)が、日本外債役を担当した。ノルマは1億円である。ロンドンに出かけ色々交渉し、話を聞いたのがベーリング・ブラザース商会で、担保を取って7〜800万円なら貸すという。次に香港上海銀行とパース銀行で5000万円まで引き受けてくれた。しかしそれでは半分である。

困っていたところ、スパイヤー商会の支店長の晩餐に呼ばれた。そこに同席したのがクーン・ローブ商会(1977年リーマン・ブラザーズに統合)のジェイコブ・シフ (1847 - 1920) で、彼が不足の5000万円を引き受けると言った。そのとき彼は金を出す理由をのべた。「私は商売で言っているのではない。私はユダヤ人で、ロシアにいる同胞のユダヤ人がロシア帝政に虐殺されている。今日本はロシアと戦っている。そこでロシア帝政のなくなるのを祈ってお金を用意するのだ」と述べた。(「国際資本戦」日本評論社1925)