シュールの本棚

世界で日々起きていることは、現実を超えて進んでいる

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

13「仏教の秘密」世界の始まりと終わり

世界の滅亡(コラージュ) 秘密13 世の中はなぜ悪くなるか 仏教の終末思想は、一神教の一回限りの終末ではなく、創造主のいない永劫回帰の終末思想なのである。仏教(倶舎論)では人間は進化が頂点に達すると、今度は退化の方向に進むというミラー対応で進行…

12「仏教の秘密」医師ベルツと神智学者

日本に講演旅行に来た神智学者オルコット氏(合成) 秘密12 神智学者が日本で仏教の講演を行った 神智学者というとブラヴァツキー夫人(1831 – 1891)が有名であるが、初代会長はヘンリー・オルコット(1832 - 1907)である。1875年、オルコット、ブラヴァツ…

11「仏教の秘密」釈迦一族の滅亡

北斎画「釈迦一族の滅亡」に着色 秘密11 なぜ釈迦は一族滅亡を傍観していたか? 釈迦一族滅亡の記事は、仏典では「仏説流離(るり)王経」、そして「増阿阿含経26等見品」などにある。日本では北斎が挿絵を描いた「釈迦一代記図絵」にも記載がある。ここで…

10「仏教の秘密」カントと輪廻

最後の審判図を前に考えるカント コラージュ 秘密10 カントの輪廻思想はどのようにもたらされたか? インドの輪廻思想に最も前向きな関心を示した作家の1人は、ドイツ観念論の哲学者イマニエル・カント(1724-1804) であった。 ケーニヒスベルク (現ロシア,…

9「仏教の秘密」高野山討伐

高野山を救った木食上人と秀吉 コラージュ 秘密9 高野山を救った上人 1571年に比叡山延暦寺の焼き討ちにあってから10年後の1581年、今度は高野山が13万人の兵に囲まれていた。以下は高野山が救われるまでのストーリー。 ●高野山討伐(1581年) 高野山におい…

8 「仏教の秘密」中国仏教衰退史

中国で4度行われた廃仏 コラージュ 秘密8 中国はなぜ仏教が興隆し、そして衰退したか 東洋学者の稲葉岩吉(1876-1940)が「支那社会史研究」7章の「経済史より見たる支那仏教徒の地位」に述べている。 ●中国仏教の盛衰 1. 漢代の仏教宣伝が主に国都で行…

7「仏教の秘密」無我

釈迦に弟子入りする迦葉 (「釈氏源流」よりコラージュ) 秘密7 なぜ仏教では「無我」というのか? 仏教では「無我」といい、「我」は存在しないという。では輪廻するのは何であろう。現世では我があり、来世でも我があるのになぜ仏教では「無我」というの…

6「仏教の秘密」河口慧海のチベット批判

サムエ寺の前のパドマサンババ 秘密6 河口慧海のチベット仏教批判 当時日本と国交のなかったチベットに、中国人僧侶に化けて潜入した河口慧海(1866〜1945)。彼はその記録を『チベット旅行記』に記している。彼は漢訳仏典の翻訳に疑問を持ち、原文を知るた…

5「仏教の秘密」自殺

崖から身を投げる姉妹(中国の挿絵よりコラージュ) 秘密5 仏教者の自殺 多くの宗教は自殺を禁じているが、それは仏教でも同じである。しかし個人の意思を重んじる時代になってからは、宗教の拘束力は低下している。以下は、仏教辞典の「自殺」の項目にあっ…

4「仏教の秘密」来世占い

ドクロの前世と来世を占う行者(コラージュ) 秘密4 仏陀は人の前世をも見通していた。 仏典には、ドクロを見ただけで、その人物の死因から輪廻している先までを言い当てる行者が登場している。以下はその要旨である。 ●死因占い コーサラ国に鹿頭(ろくず…

3「仏教の秘密」仏陀の地獄行き

前世での2人の聖者の出会い(コラージュ) 秘密3 仏陀はなぜ地獄に堕ちたか? 仏陀は何度もの輪廻を重ねて35才で覚醒したため、その後の輪廻がなくなった。 しかしその彼の長い前世物語が『本生経』(ジャータカ)に説かれている。 これを読むと、仏陀は魚…

2「仏教の秘密」龍樹

王宮に忍び込む竜樹たち インド宮廷画のコラージュ 秘密2 龍樹はなぜ出家したか? 空の哲学を広めた龍樹(りゅうじゅ)は、インドの僧で2世紀に生まれた。 鳩摩羅什訳の『龍樹菩薩伝』によると、龍樹は南インドのバラモンの家に生まれ、当時、勃興していた…

コラージュ「仏教の秘密」全24

第5回は、仏教の秘密を探ってみた。 1 僧侶 大仏と両壁面の千手観音像(モンタヌス「日本誌」挿絵より着色) 秘密1 宣教師による僧侶批判 1549年に、宣教師のザビエルがキリスト教を日本に伝えて以来、多くの仏教徒がキリスト教に改宗した。改宗の理由は…

24『日本の謎』咸臨丸 終り

航海中の咸臨丸 謎24 咸臨丸の陰の船長は? 天保12(1841)年、漁師だった中浜万次郎は、漁に出て仲間4人と共に遭難した。しかし彼は漂流後、無人島に漂着した。そこでアメリカの捕鯨船に助けられ、アメリカに行く。 1851年日本に帰国した彼は、1857年軍艦教…

23『日本の謎』英国使節

英国使節との会見図「エルギン卿遣日使節録」の挿絵より修正着色 謎23 和室での会議用の椅子はどうしたのか? 「エルギン卿遣日使節録」(1860) は、安政5年、日英通商条約締結のために来日した使節エルギン卿の記録で、記録者はL・オリファント。2年にわた…

22『日本の謎』信長の神像

モンタヌス「日本誌」(1669) 挿絵より着色 謎22 生き神となった信長 江戸時代に日本を紹介した文書は、イエズス会の通信記録と、オランダの東インド会社の使者の記録がある。東インド会社に属するモンタヌスの「日本誌」は、1669年に発行され、この書の発行…

21『日本の謎』砲術

長沢重綱画「稲富流鉄砲伝承」コラージュ/(原画ニューヨーク公共図書館所蔵) 謎21 砲術の開祖が生き残った理由 砲術は当時の最新兵器であった。 稲富流砲術の開祖 の稲富祐直(いなとみすけなお 1552-1611)は、丹後国田辺(京都府舞鶴市)で生まれた。…

20『日本の謎』遊女

「長崎名所図会」より「遊女交替の図」着色 謎20 長崎の遊女の役割とは? 長崎は御朱印船の発着港で、明国の商船は慶長15年(1610) に朱印が与えられた。慶長18年(1613)に、長崎に入港する外国船は120艘に及んだ。寛永16年(1639) 、天草の乱に懲りた家光は…

19『日本の謎』北野天満宮

「北野天神縁起絵巻」より「清涼殿落雷事件」色彩修正版 謎19 北野天満宮はいつ建てられたか。 北野天満宮は、もともと菅原道真(すがわらみちざね 845-903) の怨霊を鎮めるために建てたのか? 京都の北野天満宮は、9 世紀の学者で政治の要職にあった道真…

18『日本の謎』 耳塚

オランダ人の耳塚見物。「都林泉名所図会」より部分着色 謎18 なぜ、耳塚と呼ばれるのか? 旧京都大仏殿前の古塚は、秀吉の「征韓の役」(1592-1598) のときに敵の首の替わりに取った耳を供養した塚と言われる。しかしこれは「耳塚」でなく「鼻塚」であると…

17『日本の謎』 富士山噴火

北斎の「富嶽百景・ 宝永山出現」より部分、着色 謎17 噴火の前兆はあったのか? 宝永大噴火(ほうえいだいふんか)とは、江戸時代中期の1707年(宝永4年)11月23日に起きた富士山の噴火である。吉田村の田邊安豊なる者の長歌体の記文に次の記述がある。 「1…

16『日本の謎』 廃仏毀釈

大砲で一揆鎮圧にあたる藩吏(小野武夫「農民蜂起譚」改造社1930)よりコラージュ 謎16 僧侶一揆はなぜ起きたか 「徳川慶喜が大政奉還するや否や、慶応3年11月に早くも神祇官が復興されている。 神祇官は明治元年3月に、仏教も外国伝来のもので、本邦固有…

15『日本の謎』 親鸞

聖人流刑北陸におもむく『親鸞聖人一代記図絵』のコラージュ 謎15 親鸞はなぜ結婚したのか? 1207年(建永2年)2月、日本浄土宗の祖・法然(1133-1212 )ならびに浄土真宗の祖の親鸞 (1173-1263) を含む弟子が、後鳥羽上皇の怒りに触れ、専修念仏の停止と僧籍…

14 『日本の謎』 雷門

光琳筆『風神雷神』のコラージュ 謎14 風神雷神は何の神様か? 浅草寺の山門にある雷門(かみなりもん)は、正式には風雷神門(ふうらいじんもん)といい、「雷門」と書かれた提灯の裏側には「風雷神門」と書かれている。門に向かって右が風神、左が雷神の…

13 『日本の謎』 家康

狩野探幽筆『徳川家康像』のコラージュ 謎12 『家康百箇条』に記されていたこと 『家康百か条』は徳川一家の家典とも政策ともいうべきもので、家康が子孫に教え諭すためのもので、将軍の他、大老に内示したもの。したがって徳川の法律である『徳川百か条』と…

12 『日本の謎』 天草の乱

キリスト教徒への弾圧 「日本に関する東インド会社の記録」(1669年)より着色 謎12 島原の乱の死者? 寛永14年(1637)から翌年にかけて、島原半島南部(現長崎県)で起こった一揆は、島原藩主松倉勝家(1597-1638死因=斬首刑) の年貢取り立てが厳しく、また…

11 『日本の謎』 真珠湾攻撃

戦艦ウェストバージニアを魚雷攻撃する海軍機(コラージュ) 謎11 真珠湾攻撃のプランは誰か? 真珠湾攻撃(1941.12.8)の成功は、参戦に反対していた米市民を、戦争に向かわせた原動力となった。この攻撃を最も喜んだのは、米参戦を待ち望んでいたチャーチル…

10「日本の謎」元寇

『蒙古襲来絵巻』よりコラージュ 謎10 「元冠」勝利の訳 大帝国元は、日本攻撃をあと回しにした。すぐ隣の朝鮮には、1231年から20数年にわたり徹底的に侵略し、とくに1254年には男女20万人余が捕えられ、殺されたもの数知れず、蒙古兵の通った州都は「骸骨野…